クリ爺です。今日はみんな知ってる「ザリ」の話のつづきです。
前回記事:体操選手ならみんな知っている「ザリ」って何?
充電トレーニング
前に紹介した金子明友先生著の「体操競技のコーチング」によりますと「ザリヤーツカ」は「朝の充電トレーニング」だという記述があります。朝にトレーニングして疲れるのに、充電になる?って意味わかりませんよね。以下に引用してみます。
このザリヤートカは充電トレーニングの名のごとく起床したばかりの空になっている体(バッテリー)に充電して、これからの活動に備えようとするのが本義であり、保健的意義が前景に立っていることを忘れてはいけないのである。
(金子明友著「体操競技のコーチング」第4章 トレーニング計画, 143頁)
確かに朝の新鮮な空気を大きく吸い込むと確かに満たされる感覚はありますね。納得。充電トレーニングとはよく考えたものです。流石です。
体操選手のための「ザリ」の考え方
金子先生はさらに次のように述べています。
一般人の保健のための体操は10分前後の軽い運動が適当があろうが、体操選手の場合には、保健的意義にトレーニングのための調整的意義が加えられるだけである。朝起きて走ったり、倒立をやったりすると、真剣にトレーニングしているという満足感と悲壮感が入り乱れて、ついコンディションの調整という限界を越えてしまいやすい。確かにクレストフニコフ(旧ソ連のスポーツ生理学者)もいっているように筋力トレーニング的効果がないわけではないが、それらは技のトレーニングとの関係において朝に軽い刺激を与える程度に止めるべきである。
(金子明友著「体操競技のコーチング」第4章 トレーニング計画, 143頁)
これがいわゆる朝練とザリの決定的な違いでしょうね。いろいろなスポーツで充分な練習時間が確保できないとか、練習場所の都合などから、通常の練習を朝という時間帯で「朝練」を実施することは多いですけど、「ザリ」には「ザリ」の目的があるということですね。
特に「コンディションの調整の限界を越えてはいけない。」というところが難しいですかな。やらなくてもやりすぎてもダメ。うーむ。これぞ体操!
この続きも改めて…。